その6「オーソドックス」
1stアルバムのトップバッターとなったこの曲。
ランタノイドの中でも随分古い曲で、高校生の時には歌詞ができていた。
そのせいなのか、歌詞の切り口がどこか子供っぽい。
「宇宙船の窓から 無数の星が 僕の 後方 上 飛んでいく」
ってフレーズは、今の僕からしたらびっくりするくらいロマンチックだ。
ちなみに「ぶらりと冥王星まで行って 少し切なくなったりして」
というフレーズは、「太陽系の惑星から冥王星が除外された」というニュースを見て思いついたのだと思う。
「すいきんちかもくどってんかい『めい』」
そう教わってきた自分たちの価値観がほろほろ崩れて切なくなったのだ。
それから、「普通」という言葉の本質について、よく考えていた時期でもあったと思う。
そもそも「普通」とはなんなのか。
誰かにとっては普通で、また他の誰かにとっては普通じゃない。そんな曖昧な基準のせいで、どれだけの人がレッテルを貼られることになるのか。
社会になぞらえた「普通」なんてくだらない定義を一度全部取っ払ってみれば、つまらない世の中が少しはマシになるのかもしれない。
とか。そんなことばかり考えていたんだと思う。子供だったからね。
今だから分かるけれど、いわゆる「同調圧力」のようなものに嫌悪感があったのだと。
それも、まだ「同調圧力に対する純粋な反抗」ならいいけれど、
「同調圧力に反抗している」自分に酔っていた節があって。今でも自戒する。
そんな佐々木少年は歌の中で、言葉遊びをしながら小さくほくそ笑んでいたのだと思う。
『普通は普通に「異常」だし、「皮肉」なんて焼いて食べちゃおう。』
そんなフレーズのあちこちから、遊び心が垣間見えて、個人的にすごく好きな曲だけど、同時に恥ずかしさを覚えたりもするのである。
(その7、「ゆとり」に続く)