転がる石、君に痛みが来る

バンド・ランタノイドの歌、ギター、結石担当佐々木によるブログ。

ランタノイド配信全曲解説 その5「オーキードーキー」

その5「オーキードーキー」

 

 

 

「オーキードーキー」とは「OK」のくだけた言い方のこと。「Okey Dokey」。

ちなみに初期の曲名は「セクハラ」だった。あまりに直接的すぎるタイトルだったので、サビから拝借。響きがかわいいので採用。

最近は「メンバー紹介」の曲としてもお馴染みだと思う。

自分が描きたい世界観というか、なんというか、それがギュギュッと凝縮された曲で、性癖や、好きな女性のタイプみたいなものもじんわりと浮かび上がって来ている……と思う。

そういう「癖」は相当狂っていると自負している。

心当たりは大いにある。主に妹の持っていた少女漫画、何故か押し入れにしまってあった成年向け漫画を暇つぶしに読んでいたせいだと思う。

あえてタイトルをあげるなら「神風怪盗ジャンヌ」とか「GALS!」とか。「白鳥麗子でございます!」とか。自分でも書いてて笑える(少女漫画って性描写をベッドで横たわって手を繋ぐシーン”だけ”で補完するのいつも笑ってしまう)(そんな中でも「君の手がささやいている」という神漫画に出会えたことは母に感謝せねばなるまい)(そもそも「君の手」を押し入れに隠すな)

そう。そのせいで随分こじらせた。

紆余曲折の果てに「メンタルがバグって身体的に、精神的に色々と強靭になってしまった気のバカ強い女」がたまらなく好きになってしまったのである。

よく目にする「女性芸能人◯◯!実は性格悪かった!」みたいな記事。

そういうのちょーだい!もっと!って感じである。

世の中のあらぬ噂やバッシングに対して「だから何?」と言える強さとかわいさに常日頃憧れている。

AKBなら「こじはる」が推しだ。(とてつもない偏見)

 

さて、ここまで読んで、「所詮ポーズでしょ?」って思う人もいるかもしれない。

あなどるなかれ、これは実証に基づいた見解である。

中学、高校、と恋愛もした。気の合う女友達に僕が好きになった女の子について相談すると、

「あいつは最悪」

「女を見る目がない」

って毎回言われる始末!(笑えない)

 

そんな女性像が歌詞の世界観を支えている。「やっぱごめん、気持ち悪い」ってフレーズも然り。

なんとなくオーキードーキーを聴いていたって人は、この機会にこれを前提に聴いてみてほしいものである。

 

余談だが、昨今は「LGBT」の話もよく耳にするし(LGBTQとか、LGBTQ +とか)、この歌が主張したいことも少し違った意味で捉えられたりもするのかも、と思うこともある。僕が意図したメッセージと曲解するのは当然のことだし全然構わない。

男はたくましくなくていいし、女はおしとやかじゃなくていいし、もう何でもいいわけで。

結局認め合う世の中を作れるのかってところが、目下最大の懸念事項だと思う。どこの国でも、街でも、文化が違えば考え方まるっと違うのだから。

自分の考えとしては、そこに深く頭を突っ込んだり、逆にノータッチでいたり、なんて極端なことはしないつもりでいる。

話したければ話すし、歌いたければ歌う。

そんなスタンスだから、聴いている側も肩肘張らないで、課長と部長と社長の時代錯誤に対して、呆れつつもどっしりと構えて笑い飛ばす気の強い女の子の話をただ楽しんでくれればありがたい。

 

ちなみに音源のギターはこばさんが弾いている……のはここだけのハナシ。

 

(次回、その6「オーソドックス」に続く)

結ぶ

GOENDsレコ発スリーマンに出演。新譜のタイトルが良すぎる。「いつかの」って言葉は確かに未来にも過去にも干渉していくようなニュアンスを持っててGOENDsの曲にはぴったりだ。「ずるいじゃん、そんなの」ってひとりごちた。

プラス、「いつかの」とか「未来」とか「過去」とか、そういうワードに今ひどく敏感なのは、先週観たクレしん「オトナ帝国」のせい。絶対そう。間違いない。

 

ライブ見ながらつらつら考えていたことを書く。

 

「未来」を創ることはできても、「過去」を創ることはできないんだよなきっと。

でも、「未来」と違って「過去」には触れられるんだな。

もちろん触れたくないこともたくさんあるけど。

音楽は、どっちかといえば「過去」の為にあるのかもしれないな。ふとした旋律で、音響で、言葉で。「いつかの夏至」に起きたこと、その記憶ごと「曲」と結びつくのだな。そんでもってその結び方は自由なんだ。すっっごく歪んだ結び方したり、逆にきっちり結んだり、今にもほどけそうなくらいゆるく巻きつけたり。

「どう結んだらそんな形になるんだよ!」って言われるぐらいの変な結び方もあるだろうな。

その人それぞれな感じが、僕は好きなんだろうなー。

 

とか考えてた。

 

GOENDsの曲は、気づいたらするっと結ばれてて面白い。GOくんと違う人生を生きているはずなのに、僕の幼稚園も無くなっていたような気がする。駐車場になってた気がする。轡虫が鳴いている気がする。それが楽しい。

 

9/12 @湘南bit

 

1.銀河鉄道の夜

2.オーソドックス

3.とべとべろまんず

4.こころ

5.オーキードーキー

6.#

7.マバタキ

8.突破口

 

またいつかの夏至にやりたいね!

TREMOLO HOUSEも一緒にね!

 

 

10B

Zaloudレコ発企画。朝もはよから(バンドマンにとって10時は早朝)bitにお邪魔した。トッパーのRaymondは9時半、Zaloudは8時半から来てたらしい。それに応えるスタッフもすげーや、と他人事のように思ってしまった。この時は。

すぐに対バンと顔合わせ。全部で11バンド。誰が言うわけでもなく円の形になるんだけども、だいぶ歪な形してたと思う。それぐらいの人数。でもやる。煌びやかなステージの前に空気清浄機がどどんと二つ鎮座。扇風機が全部で10台くらいフル稼働。でもやる。だからやる。不要不急と言われてから1年半ぐらい経ったわけだが、そろそろこっちも答え合わせがしたい頃なんだ。「本当に不要だし不急なんですかね?」当事者だからかもしれなけど、僕は音楽が不要不急だとは思わなんだ。音楽やってなかったらとっくに自殺してる。かといって周りの人が僕の自己満で死ぬのはつらい。そんな葛藤の中で、バンドマンは揺らいでいる。だから、できることは全部やって、その上で。やるしかないんだなって。

Zaloudはそういう覚悟の上でやったんだな。で、その覚悟にのっかれる人たちが昨日集まったんだな。そう感じずにはいられない1日だった。みんな不安だったと思う。誤解を恐れず言うけれど、「楽しい」だけじゃなかったような気がするよ。この状況で11バンドって数は。でも、会場内の至る所に貼ってある注意書き、トイレに貼ってあったニークラの直筆のメッセージ、お客さんに配られた携帯用の除菌アルコール、そして極め付けは対バンが楽屋に収まりきらんからって、新たに借りたゲストルーム。ビビった。

もちろん、全部が全部Zaloudが考えたことじゃなくてbitからの提案もあると思う。っていうか全部bitからの提案かもわからん。けど本当に重要なのはそこじゃなくて、いや重要かもしれないけども!「やるんだったらそれぐらい準備しよう」って結論に至った心意気の話を僕はしてるんよ。やめるのは簡単だけど、これだけされたら誰も文句言えないよ。近藤勇も言ってる。捨ててはならぬものは義理だって。だから応えなくちゃ。

結論。ものすごく気合いが入ったライブをして、力んでいつもより自分の声、出ず。あはは(笑い事じゃあござらんよ)。

 

9/5 @湘南bit セトリ

1.ゆとり

2.とべとべろまんず

3.男なら勝利の歌を

4.オーキードーキー

5.銀河鉄道の夜

 

ああ、芯が「太い」ってのはこういうこと言うんだろうなあ、とまざまざ見せつけられたぜZaloud。レコ発おめでとうでした。

来週はスリーマン。この勢いのままけっぱるべ。

 

 

雨、雨、雨

雨がずっと降り続き、急に涼しくなってきたせいかお腹の調子が悪い。夜食べているものがよくない気がする。ここ2週間自炊をしていないのが原因な気もする。

 

Water Dropのツアーファイナル出てきた。セトリはこれ。

 

8/29(日)@湘南bit

1.こころ

2.とべとべろまんず

3.オーソドックス

4.#

5.オーキードーキー

 

今回個人的にも感触が良かったのは こころ だったかな。リハスタでは、オーソドックスを一曲目に持ってきてぶち上げよう、みたいな案も出たけど、練習している内に「やっぱりこころがいいか〜」みたいな感じでメンバーの意見が一致。中々トップの座を譲らない。いや順位じゃないけども。

にしても、対バンがすごくよかったなぁ。ランタノイドはようやくみんなと肩を並べられるぐらいになったのかな、いやいや自惚れんな全然まだだろ、ってループ。

主催のWater Dropはもちろんだけど、この日の個人的ベストはSwitch boardだった。ライブ後にカガミに話聞いたら変に納得しちゃった。

やっぱ演者の意気込みがあればあるほど、ライブはすごくよくなるんだよね。傍目には空回りしているように見えるかもしれないけど、伝わってる人にはしっかり伝わってるから。だから臆することなくみんな感情を曝け出してくれぃ!と、音楽オタクから一言。

 

スリーマン、がんばるか。

 

 

ランタノイド配信全曲解説 その4「サラバ!」

その4「サラバ!

 

 

2ndシングル2曲目。西加奈子さんの直木賞受賞作「サラバ!」を連想してくれた人もいた。小説としてはかなり長いが、この場でオススメしておく。

サラバ!」は明確に「長い曲を作りたい」と思って色々と試行錯誤した。最初期はピロウズの「Fanny Banny」みたいな曲調で、デモを聴いた友達に一発で看破された。

その長さ故に気軽に演奏できないのがネックだが、セトリに組み込まれた時は思いっきり肩に力が入る。聴いた人を全員泣かすくらいの気持ちである。

Cメロで「たぶん きみは もう 忘れちゃうんだろう」「おじいちゃんの 細くなった腕も顔も」ってフレーズがあるが、ここは唯一実体験を元にしている。病院で寝たきりの、腕も顔も細くなったおじいちゃんの姿。

今の所忘れる気配は微塵もないが、でもそれもいつか忘れる日がくるはずなのが少し怖かったりもする。

ので、「忘れたんじゃなくて、未来に近づく分、過去と少しずつサラバするだけなんだよな」って。気持ちに折り合いをつけた。

井伏さんが「人生足別離」を「さよならだけが人生だ」と訳したように。

そのままの感情が歌に詰まっている……と思いたい。

さようなら、バイバイ、またね、などなどお別れの言葉はたくさんあるが、「サラバ!」を選んだのには「別れ」という事象にポジティブなイメージを重ねたかったからというのもある。

多分これから先二度と会うことがないと分かっていても、「サラバ!」ならあっけらかんとしていて、前向きに感じるのだと思う。

 

(次回、その5「オーキードーキー」に続く)

匂いはどこでもいっしょ

仕事の兼ね合いで京都・大阪へ。エスカレーターで立ち止まるのは右側。忘れがちなので時々人の流れを塞いでしまうことがしばしばある。っていうか今回もあった。

新幹線で3時間。たどり着いたらもう変な感じするというか、なんぼ出張行っても不慣れな自分に驚く。異世界感がある。売店とか、土産屋とか、当然だけど普段耳にしているイントネーションとは全く違っていて面白い。こっちもつられてしまって、

Q.袋要りますか?

A.いや、ええですわ

とか飛び出してきて、なんやねんな。感性小学生ちゃうか?

そんなこんなで用事を済ませ、昼飯は何食べよう、あんま時間ないけど名物的なものが食べたい、京都って八ツ橋とか甘味系じゃね、あっ、丸亀製麺みっけ、って感じで丸亀製麺の明太釜玉うどんを貪り食った。美味いけど、せっかく出張に来たのにチェーン店で食事を済ませるのって徳が低い気がしてしまう。貧乏性が発揮されるのはもっと別のところがいい。

京都も大阪も東京に負けじと暑く、歩いている内に体力がどんどこ減っていくのは変わらなかった。コンビニでイオンウォーターを発見し即購入。次のアポが迫る中、猛烈な便意に襲われつつ、ひたすらに歩く。唐突に臭い匂いが鼻につく。決して僕が漏らしたのではなく、排水溝とか、川から発せられているニオイ。横浜でもこんな匂いしたなあとかぼんやり思いつつ、ノスタルジックな感覚を味わう。匂いはどこでも一緒なのである。もっとフレグランスな思い出が欲しいところだけど嫌いじゃない。やっとここも日本なのだと感じてきた。

全てのアポが終わって「夜飯ぐらいは豪勢に!」と思ったらもう20時で店閉まってた。しゃーないので駅弁を探すがほとんど売り切れ。売れ残っていた牛タン弁当では俺の心は満たせない、とゴローちゃんは言うだろうな。言うのかな?

自由席はガラガラで、背もたれマックスに下げて優越感に浸っていたら、3人がけの席に横になっているおっちゃんおばちゃんを発見して、あぁ、「自由」席だもんな、とかくだらないことを考えながら帰路についた。

 

 

 

ランタノイド配信全曲解説 その3「マバタキ」

その3 「マバタキ」 

 

 

「夏が来る」の項でも書いたが、ギターの清野さんがバンドをやめることになって、バンドの存続自体も非常に危うい状況になっていた。

自分がバンドのためにできることは何か。すべきことは何か。それを見つめ直すいいきっかけにもなった。

いい曲を書き続けることしかない、バンドを続けるにはそれしかない、と当時は思い至り、そうしてできたのがこの「マバタキ」という曲。

湘南bitで出会ったクマちゃんTREMOLO HOUSE

「あの曲ってブッチャーズですよね!」

って言われて心底嬉しかった。

そう。bloodthirsty butchersは学生時代にどハマりした僕のバイブルの一つ。

「フランジングサン」というフレーズはここからきている。

デモが出来た時はなんだか放心してしまって、ぼーっとしながら飯食ってたら母親に心底心配された。

実家はマンションだったので、歌のデモ録は時間帯に気を遣いつつ、なおかつ迅速に終わらせなければならない。だもんで、更に神経をすり減らせていたのだった。

導入したてのPro toolsにドラムのループを流して、そこにギターを二本重ねて、できるだけ気だるく歌った。

死にたいと思いながら歌った。

テイクを聴いてみると、「絶対死にたくない」って思いが歌声に滲んでいて思わず笑ってしまった。そのちぐはぐな感じがえらく気に入った。

できたデモをメンバーに送ると、もう辞めるはずの清野さんのレスポンスが一番早かったのを良く覚えている。

そこから色んなアレンジを経て、最終的に今の形に落ち着いた。

レコーディングでは同期のサトシTHE TOKYO SSにギターを弾いてもらった。

報酬はラーメンでもいいですか、と冗談で言ったらすごく喜んでくれた。

サトシは本当にいいヤツである(バカにしているのではなく、本気で思っている)。

後奏で爆発するようなギターを聴いて、確か一発OKだったと思う。本当に頼んでよかったなぁと。ちなみにサトシは「サラバ」でもギターを弾いている。

エンジニアの井垣さんのアドバイスでギターにディレイをかけたら幻想的な仕上がりになって感動した。

出来上がった音源を聴いて「辞めなくてよかったな」とふらふら思った。

 

余談だが、2017年のHOTLINE島村楽器が主催しているコンテスト)神奈川エリアファイナルで、「マバタキ」は楽曲賞を受賞した。全国には駒を進められなかったが、自分の作品がやっと認められたような気がして、またホッとしたのだった。

 

(次回、その4「サラバ!」に続く)